卓球界の2人の天才に迫る!! 最終回

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2011年11月28日の記事より

1997年のマンチェスター大会では、そのサーブが前回より、
また高くなり、滞空時間をうまく使っていました。

そして、インパクトの瞬間に手首をうまく効かしながら出してい
ました。

見かけがどっしりしていますから、あまりそういうところは見え
にくいのかもしれませんが。

それから、サーブからのバックハンドとか、合わせ技というか、
相手に凡ミスさせるとか、そういった部分では「横綱相撲」とい
っていいと思います。

ようするに「王道」です。

ガッチリ四つに組んで戦うことができるということです。

ワルドナーは、相撲でいえば横綱プラス平幕だと思います。

というのは、四つに組んでの「横綱の王道」もできるし、
サーブでパッとポイントしたり、レシーブでパッとポイン
トしたり、相撲でいえば、けたぐりとか、立ち会いで変化
をつけるとかという意外性を持っているからです。

サムソノフは、まだワルドナークラスの意外性はありませ
ん。

しかし、総合力としてのレベルが高いですから、誰と対戦
しても対応できるわけです。
           
現在、ワルドナーは31歳になりますが、今後ということか
らすれば、技術は完成されていますから、欲を言えば今の若
い選手が使っているフォアサーブ(ヤンジェネ)をマスター
すればワルドナーの時代はまだまだ続くと思います。

そして、体力的な心配はないですが、精神面からくる体力の
衰え、そこの部分さえ気をつければ、連覇の可能性はあると
思います。

サムソノフの場合は、技術的なもの、体力的なものは充分で、
経験だけが足りなかったのですが、今回の決勝進出でそれが
解決されました。

どうしても必要ということであれば、ワルドナーが持ってい
る「立ち会いの意外性」ということになると思います。

天才は、99%の努力と1%の才能といいますが、やはりそ
の人に才能がないと難しいのではないでしょうか。

そして、それを引き出せる環境と引き出せるスタッフ、そし
て自分が行動できるかどうかになると思います。
                    

ワルドナーの前にクランパ―というハンガリーの選手がいま
した。

1971年の名古屋大会のとき、彼は18歳でした。ダブ
ルスに優勝し、1979年のピョンヤン大会のときは男子団
体に優勝しました。

ワルドナーが優勝した89年のドルトムント大会まで第一線
でプレーしてましたから、息の長い選手でした。

クランパ―は、威力やパワーよりも速さ、打点の高さを追求
した選手でした。

先駆者といってもいいのではないかと思います。

あくまでも個人的な意見ですが、もし彼がいなかったら、ワ
ルドナーをはじめ、スピードや打点の高さを考えてプレーす
る選手がすぐに生まれたかどうか、わかりません。

クランパ―に代わる選手が出現し、誰かがそれを継承したか
も知れませんが、でも、2000年以降になっていたかも知
れません。

そういう意味では、彼は方向性をつけた天才ということが言
えると思います。

クランパ―は、精神的な部分で不安要素がありましたから、
シングルスの優勝はありませんでした。

しかし、先駆者としての天才だったと思います。

ワルドナー、サムソノフに続く天才ということでは、劉国梁
(中国)ではないかと思います。

理由は、独自の卓球スタイルを持っているからです。

表ソフトによる中国伝統の速さプラス、バックの裏面打法と
いうものを開発し、かつフォアハンドサービスでもいろいろ
な形を作り上げたということで、彼しか持っていない、誰も
真似ができないということで彼も天才といえると思います。

実績もオリンピックチャンピオンになっていますし、そして
団体優勝の立役者になっていますから。

4回に亘って掲載しましたが、ご覧いただきありがとうござ
いました。

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